沢村直次は、火薬の匂いを初めて嗅いだ時、思ったより甘いのだなと思った。
もっと刺すような匂いを想像していた。
もっと、死に近い匂いを。
だが、古い長屋の奥に漂うそれは、硫黄と油と湿った木材の匂いに混じり、どこか甘ったるく鼻の奥へ残った。
甘いからこそ、余計に嫌だった。
人を殺すものが、こんなに静かであっていいのか。
「直次」
低い声に呼ばれ、直次は顔を上げた。
荒木源内が、長屋の柱にもたれてこちらを見ている。
白髪混じりの髷。
深い皺。
いつも眠そうな目。
だが、眠っているわけではない。荒木は目を細めたまま、誰がどこへ動いたか、誰の手が震えているか、誰の息が荒いかを全部見ている。
直次は、その目が少し苦手だった。
「何です」
「火薬を見る目をするな」
「見る目?」
「刀に憧れる若造の目とも違う。あれは、自分の死に場所を探す目だ」
直次はむっとした。
「俺は死に場所なんか探してません」
「そうか」
荒木は否定しなかった。
それが、かえって腹立たしかった。
「俺は、役に立ちたいだけです」
「役に立つことと、死ぬことは同じじゃねえ」
「同じにしたのは、そちらでしょう」
直次の声が、思ったより鋭くなった。
長屋の中にいた浪人たちが、ちらりとこちらを見る。
直次は唇を噛んだ。
この長屋は、田中久重の工房から二町ほど離れた裏通りにあった。
表向きは空き家だ。
だが今は、影山伝蔵の配下が十数人、身を潜めている。
畳は擦り切れ、壁土は剥がれ、雨漏りの跡が天井に広がっている。隅にはイーサン・グラントから届いた木箱が積まれ、その上に油紙で包まれた銃、火薬、火炎瓶の材料、封蝋を剥がすための溶剤が並んでいた。
部屋の中央では、倉田甚八が爆薬を調整している。
倉田は背が低く、片目の下に火傷の跡がある男だった。もとは鉱山で発破を扱っていたと聞く。指は太いが、不思議なほど細かく動く。
彼は銃よりも刀よりも、火薬を愛しているように見えた。
「湿気が多い」
倉田がぼそりと言った。
「江戸の冬は乾くと聞いたが、長屋の床下が腐ってやがる」
「使えるのか」
荒木が聞く。
「使えるようにするのが俺の仕事だ」
倉田は油紙を開き、小さな秤で粉を量った。
「イーサンの品は悪くねえ。だが、海を渡る間に少し湿気を吸っている。火炎瓶には向くが、仕掛けに使うなら乾かしてからだ」
「火炎瓶……」
直次はその言葉を繰り返した。
倉田が片目で見上げる。
「怖いか」
「怖くありません」
「怖がれ。怖がらねえ奴は、火を雑に扱う」
倉田は粉を量りながら、片目だけで直次を見た。
「火薬はな、正直だ」
「正直?」
「湿れば拗ねる。詰めすぎれば怒る。雑に扱えば、敵より先にこっちを食う」
直次は油紙の上の黒い粉を見た。
「人みたいですね」
「人よりましだ。火薬は嘘をつかねえ」
直次は返事に詰まった。
荒木が小さく鼻を鳴らす。
「倉田の言う通りだ。火は怖がるくらいでちょうどいい」
「ですが」
「ですが、何だ」
直次は懐へ手を入れた。
指先に、小さな木札が触れる。
質札。
母の名が、乱れた字で書かれている。
病に伏せた母のために、布団も、火鉢も、最後には父の形見の脇差まで質へ入れた。
それでも足りなかった。
薬代は、いつも少しだけ足りなかった。
そして、足りないまま母は死んだ。
「怖がっている間に、何もかも取られたんです」
直次は言った。
「武士の名も、家も、母も。怖がって、待って、頭を下げて、それで何が残りましたか」
荒木は何も言わなかった。
倉田も、手を止めたまま黙っている。
荒木は、かつて同じ目をした若者を一人、止められなかった。
止める言葉を探している間に、その若者は火の中へ走った。
だから直次を見ると、古い煙が喉の奥へ戻ってくる。
だが、その話を荒木はしない。
話せば止められるほど、若い火は素直ではないと知っている。
直次は続けた。
「俺には、もう火くらいしか残っていません」
言ってから、自分の言葉が少し怖くなった。
火くらいしか残っていない。
それは、本当に自分の言葉だろうか。
それとも、誰かに与えられた言葉だろうか。
「よい」
奥から声がした。
神崎玄蕃だった。
古い羽織をまとい、膝の上に檄文の束を置いて座っている。
痩せた顔。
整いすぎた髭。
筆を持つ指は細い。
だが、その指から生まれる言葉は、刀よりも人を急がせる。
玄蕃は直次を見た。
「火しか残っていない者は、火によって己を取り戻す」
玄蕃の視線が、直次の懐へ落ちた。
直次はびくりとした。
木札の端が、指の間からわずかに覗いていた。
「母御の名か」
直次は息を呑む。
「見せるな。大事なものだろう」
玄蕃は優しい声で言った。
その優しさが、直次には痛かった。
「母を奪ったのは病だけではない。薬を買えぬ世、旧き者を見捨てる世、弱き者を黙らせる世だ」
直次の胸が熱くなる。
「ならば、君の火は私怨ではない。弔いだ」
荒木の眉が動いた。
「先生、若い者にあまり綺麗な言葉を聞かせるな」
「綺麗ではない。これは真実だ」
玄蕃は檄文を一枚開いた。
朱筆の文字が、薄暗い長屋の中で血のように見えた。
「西洋の妖術を焼け」
玄蕃の声は静かだった。
その静けさが、かえって熱を帯びている。
「からくりの名を借りた鉄の獣は、この国の手を奪う。蒸気と歯車は、職人の魂を箱に閉じ込める。学問を語る者は、女を男の席へ座らせ、町人を武士の顔に変え、異国の言葉で若者の舌を腐らせる」
直次の胸が熱くなる。
第1章の横浜闇市で聞いた言葉と同じ熱だ。
自分の怒りが、誰かの文章になる。
それは恐ろしいほど気持ちがよかった。
玄蕃の言葉を聞くたびに、直次は自分が少し賢くなったような気がした。
だが、本当は違う。
自分の怒りに、立派な着物を着せてもらっているだけなのかもしれない。
そう思いかけて、直次はその考えを押し込めた。
立派な言葉を疑えば、裸の怒りだけが残ってしまう。
裸の怒りは、あまりに惨めだった。
怒りに形が与えられる。
形があるなら、振るえる。
振るえるなら、戦える。
「工房は、ただの工房ではない」
玄蕃は続けた。
「田中久重の工房は、明治という偽りの象徴だ。旧き手を捨て、新しき鉄に媚びる場所。そこを焼けば、民の目は覚める」
「民の目が覚める前に、職人が焼け死ぬ」
荒木が低く言った。
長屋の空気が止まった。
直次は荒木を見た。
倉田も手を止める。
玄蕃は目を細めた。
「犠牲なくして、時代は戻らぬ」
玄蕃は、若者を死なせたいわけではない。
少なくとも、本人はそう信じている。
ただ、若者の命を時代のために使ってよいと、本気で思っている。
だからこそ、その声は揺れなかった。
「戻るのか」
荒木の声は、乾いていた。
「焼けば、時代は戻るのか」
玄蕃は答えない。
代わりに、部屋の奥で刀を磨いていた男が、布を止めた。
真田景久。
直次よりいくつか年上の若い浪人。
黒髪を後ろで無造作に束ね、顔の下半分を布で隠していることが多い。目元は鋭い。けれど、時々ふっと遠くを見る。
その目は、誰かに似ていた。
直次はその誰かをまだ知らない。
景久は長屋の隅で、黙って刀を拭いていた。
火薬の箱には触れない。
銃にも、ほとんど興味を示さない。
ただ、自分の刀だけを丁寧に整えている。
倉田がわざとらしく言った。
「景久、お前も火薬は嫌いか」
景久は布を動かす手を止めずに答えた。
「嫌いだ」
「正直だな」
「音が汚い」
倉田は片目で笑った。
「斬る音は綺麗か」
景久の手が止まった。
ほんの一瞬。
「綺麗なわけがない」
その声は低かった。
直次は、なぜか胸を突かれた。
景久は伝蔵様に従っている。
自分たちと同じく、明治に奪われた者のはずだ。
なのに、景久の言葉は時々、こちらの熱を冷ます。
「景久」
今度は別の声がした。
影山伝蔵が、奥の間から出てきた。
黒い羽織。
痩せた頬。
親指は古い印籠の傷を撫でている。
長屋の中にいた者たちが、自然と姿勢を正した。
直次も膝を揃える。
伝蔵は派手なことをしない。
大声も出さない。
だが、この場で誰よりも重かった。
「工房へ入ったな」
景久は短く頷いた。
「入った」
直次は息を呑んだ。
昼間、工房に忍び込んだのは景久だったのか。
「鳳凰丸の管に仕込みは」
「入れた」
倉田がにやりとする。
「どうだった」
「動く前なら気づかれにくい。だが、あの発明狂がいる」
「綾部影照か」
伝蔵が言った。
景久は頷く。
「あれは、音と匂いを拾う。長くはもたん」
倉田が舌打ちした。
「ちっ。じゃあ、もう気づかれたか」
「おそらく」
「なら早めるしかねえ」
景久は黙った。
荒木が彼を見る。
「工房には子どもがいたか」
直次は、荒木がなぜそんなことを聞くのか分からなかった。
景久の手が、刀の布を強く握った。
「いた」
「丁稚か」
「……ああ」
景久の脳裏に、工房で見た丁稚の顔が浮かんだ。
工具袋を腰に下げ、誰かに褒められたのか、耳まで赤くしていた少年。
あの目は、かつての自分に少し似ていた。
兄の背を追いかけ、刀の握り方を真似ていた頃の自分に。
そのわずかな間を、荒木は見逃さなかった。
「どうした」
「何でもない」
「お前、何か見たな」
景久は答えなかった。
直次は思い出した。
横浜闇市の夜。
外で子どもが泣いた時、景久は誰にも見られないように握り飯を戸口へ転がしていた。
あの時も、何でもない顔をしていた。
けれど、見ていた者はいた。
直次はなぜか、そのことを誰にも言えなかった。
伝蔵が静かに言った。
「景久」
「はい」
「迷うな」
景久の目が、わずかに細くなる。
伝蔵は続けた。
「我らは、弱き者を焼くために動くのではない。弱き者を踏みつけにする時代を焼く」
玄蕃が頷く。
「その通り。小さな犠牲を恐れて大きな病を見逃せば、国そのものが腐る」
荒木が低く言った。
「言い方は綺麗だな」
玄蕃の目が荒木へ向く。
「荒木殿は、まだ腰が引けている」
「腰が引けているんじゃねえ。目が覚めているだけだ」
「では、なぜここにいる」
荒木は答えなかった。
その腰にも刀がある。
その足もまた、ここから出る道を知らない。
直次は、荒木を責める気にはなれなかった。
自分も同じだ。
ここ以外に行く場所がない。
だから、ここで与えられる言葉にすがっている。
「設計図は」
伝蔵が倉田へ目を向ける。
倉田は木箱の上に広げた粗い見取り図を指差した。
「工房の奥、火鉢のある棚の裏に隠し棚があるらしい。横浜の商館から流れた情報だ。表の設計図を燃やしても、本命はそこだ」
「奪う。燃やすのは、その後だ」
玄蕃の眉が動いた。
「使うのか」
伝蔵は玄蕃を見た。
「敵の力を知らずに、敵は斬れぬ」
「それで魂は残るか」
長屋が静かになった。
伝蔵の親指が、印籠の傷を撫でる。
その傷は、妹の薬代を工面するため、質屋の台へ置いた時についたものだった。
結局、印籠は戻った。
妹は戻らなかった。
薬代にすら届かなかった日の記憶。
死んだ者の名を、誰も覚えていないという怒り。
「魂だけで、腹は膨れぬ」
伝蔵の声は、冷たかった。
玄蕃は口を閉じた。
直次は胸の奥が震えた。
伝蔵様は、理想だけの人ではない。
勝つために、憎むものさえ使う。
それは矛盾かもしれない。
だが、直次には強さに見えた。
「襲撃は今夜だ」
伝蔵は言った。
「時計塔の鐘が三つ鳴った時、倉田は裏手へ火を入れろ。火は騒ぎを生む。直次、お前たちは表から職人を追い出せ。殺すな。だが、邪魔をする者は斬れ」
直次の喉が鳴った。
殺すな。
だが、邪魔をする者は斬れ。
その二つが同じ命令の中に並んでいる。
荒木の目が、ほんの少し伏せられた。
その命令を、昔から何度も聞いたことがある目だった。
できるだけ殺すな。
ただし、邪魔なら斬れ。
そういう言葉が、一番多くの死体を作る。
「はい」
声は出た。
思ったより、しっかりと。
荒木が横目で直次を見る。
「俺も表へ行く」
「荒木殿は直次の組を見ろ」
伝蔵が言う。
荒木は不満そうにしたが、頷いた。
「景久」
「はい」
「お前は奥へ入れ。設計図を押さえろ。綾部影照と真田義経には近づきすぎるな」
景久の目が、初めてはっきり揺れた。
「真田……義経」
その名だけが、長屋の空気から音を奪った。
直次は景久を見た。
なぜ景久がその名に反応したのか、直次には分からない。
だが、荒木は分かったように目を伏せた。
倉田でさえ、火薬を量る手を止めた。
景久の手が、刀の柄に触れている。
怒りとも違う。
恐れとも違う。
もっと古く、もっと痛い何かが、その目に浮かんでいた。
伝蔵は静かに言う。
「お前の兄だ」
景久は答えない。
「今は新政府側の護衛だ」
景久の指が、柄を強く握った。
「知っている」
「ならば迷うな」
景久は笑った。
声のない笑いだった。
「迷ってなど、いない」
直次には、そうは聞こえなかった。
荒木にも、そうは聞こえなかったらしい。
だが、誰も何も言わなかった。
長屋の外で、子どもたちの笑い声がした。
近所の子らが、軒先の氷を割って遊んでいるのだろう。
景久の目が、一瞬だけそちらへ動いた。
伝蔵は見ていなかった。
玄蕃は檄文を見ていた。
倉田は火薬を見ていた。
荒木だけが、景久のその一瞬を見た。
そして、何も言わなかった。
夕刻が近づくにつれ、長屋の中の熱は静かに上がっていった。
倉田は火薬を油紙へ小分けにし、火炎瓶の口へ布を詰める。
直次はスナイドル銃を持たされた。
思ったより重い。
刀よりも冷たい。
だが、その冷たさが、なぜか頼もしくもあった。
「銃に振り回されるな」
荒木が言った。
「銃は刀より早い。だから、自分が強くなったと勘違いする」
「俺は勘違いしません」
「今そう言う奴ほど危ない」
直次はむっとした。
だが、荒木は懐から小さな布を出し、銃の金具を拭いてくれた。
「湿気を取れ。手汗で滑る」
「……ありがとうございます」
「礼は生きて帰ってから言え」
直次は返事ができなかった。
生きて帰る。
その言葉が、思ったより遠く聞こえた。
景久は部屋の隅で、黒い布を顔に巻いている。
直次はその布に目を留めた。
粗い織り。
どこか古びた、北国の匂いを抱えた布。
「景久さん」
直次は思わず声をかけた。
景久の目だけがこちらを向く。
「何だ」
「その布、工房で落としたのでは」
景久は一瞬、動きを止めた。
それから懐を探る。
布の端が少し欠けていることに気づいたらしい。
「……落としたかもしれん」
「まずいのでは」
「まずいな」
言葉の割に、景久は焦っていなかった。
いや、焦っていないように見せているだけかもしれない。
荒木が横から聞いた。
「誰かに拾われたら」
景久は短く言う。
「兄なら、気づく」
その声が、ひどく苦かった。
直次は何も言えなかった。
兄。
新政府側の護衛。
捨てた兄。
それとも、捨てられたと思いたい兄。
直次には分からない。
けれど、景久の手が少し震えていることだけは分かった。
やがて、外が暗くなった。
長屋の戸が開く。
冷たい夜風が入ってきて、火薬の甘い匂いを少しだけ薄めた。
伝蔵が立つ。
「行くぞ」
浪人たちが一斉に動いた。
刀を差す音。
銃を抱える音。
火炎瓶を布で包む音。
誰も大声を出さない。
静かだった。
だからこそ、直次には怖かった。
怒りは叫ぶものだと思っていた。
だが、本当に火を抱く者たちは、火を消さぬように静かになる。
長屋を出る直前、玄蕃が檄文を一枚、直次へ渡した。
「懐に入れておけ」
「これは」
「お前の手が震えた時、読むがよい。何のために火を持つのか、思い出せる」
直次はその紙を受け取った。
紙は軽い。
だが、懐に入れると、質札より重く感じた。
長屋の外へ出ると、田中久重の工房の時計塔が遠くに見えた。
窓から灯が漏れている。
まだ職人たちが動いているのだろう。
千吉という名の丁稚も。
お初という女中も。
新太郎やつばきたちも。
直次は彼らの顔を知らない。
知らないから、戦えるはずだった。
知らない者なら、時代の象徴として焼けるはずだった。
なのに、景久が「丁稚がいた」と言った時から、直次の中で何かが小さく引っかかっている。
「直次」
荒木が隣に立った。
「はい」
「火を見るな。人を見ろ」
「え」
「火だけ見ていると、火に持っていかれる」
荒木はそれだけ言って歩き出した。
直次は懐の中で、質札と檄文が重なっているのを感じた。
質札には、母の名があった。
檄文には、国の名があった。
どちらも紙だ。
どちらも軽い。
母の名は、直次を引き戻そうとする。
国の名は、直次を前へ押す。
なのに、どちらも彼の足を縛っていた。
そのころ、田中久重の工房では、千吉が火鉢のそばでうとうとしていた。
膝の上には、影照に褒められた圧力計の小さな写し図がある。
お初がそれを見つけ、そっと上着をかけた。
「風邪をひきますよ」
千吉は目を覚まさない。
工房の奥では、鳳凰丸の調整を終えた職人たちが、ようやく遅い夕飯にありつこうとしていた。
誰も、外から火が歩いてくることを知らない。
夜。
工房の時計塔が、ゆっくりと鐘を鳴らした。
一つ。
直次は息を吸った。
二つ。
倉田甚八が火薬袋の口を結び直し、火打石を取り出す。
三つ。
澄んだ音が、夜気の中に消える。
倉田の指先が、火種を近づけた。
小さな火が、油を吸った布の先に移る。
それは、思ったよりも静かに燃えた。
甘い火薬の匂いが、直次の胸いっぱいに満ちた。
その甘さが、どうしても好きになれなかった。
そして、田中久重の工房へ向けて、復讐の火が歩き出した。


